オリンパスPNE FT修理日記【タイマー、シャッター不良】2024/8/17

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今回のオリンパスPNE FT【タイマー、シャッター不良】の故障状況

プロのカメラマン、T様からのご依頼です。タイマーがおかしくなり、シャッターがきれいなということでした。しかし、中を開けて簡易的に見てみると、問題はシャッターユニットがおかしく、タイマーも怪しいです。

当初、タイマーとシャッターの不具合は別々の問題かと思われましたが、中を開けて簡易的に見てみると、状況はもう少し複雑でした。詳細な検査の結果、問題の根源はシャッターユニットにあり、それに付随してタイマーも正常に機能していないことが判明しました。


シャッターユニットの不具合は、長年の使用による摩耗や、内部の潤滑油の劣化が原因と考えられます。一方、タイマーの問題は、シャッターユニットの不具合が影響を及ぼしている可能性が高いですが、タイマー自体にも経年劣化による問題がある可能性が示唆されました。

オリンパスPNE FTに行った修理内容

リンパスPEN FTは、1966年に発売されたハーフカメラで、コンパクトながら高性能な機能を持つことで知られています。しかし、発売から半世紀以上が経過し、多くの個体で共通の問題が発生しています。

その一つが、FTやFシリーズに共通して見られるモルトの劣化です。モルトとは、カメラの裏蓋を光漏れから守るための軟質素材ですが、経年変化により劣化し、ぼろぼろになることがほぼ避けられません。今回のケースでも例外ではなく、モルトの交換を行いました。

モルトの交換は、カメラの気密性を保つ上で非常に重要な作業です。適切な厚さと柔軟性を持つ新しいモルトを慎重に貼り付け、裏蓋がしっかりと閉まることを確認しました。この作業により、フィルムへの不要な光の侵入を防ぎ、鮮明な画像を撮影することが可能になります。

次に、最も重要な修理ポイントであるシャッターユニットの問題に取り組みました。検査の結果、シャッターユニットは完全に機能を失っており、修理は不可能な状態でした。幸いなことに、当店には同型のシャッターユニットの在庫があったため、ユニットごと交換することができました。

シャッターユニットの交換は、カメラの心臓部を入れ替えるようなものです。慎重に古いユニットを取り外し、新しいユニットを正確に位置合わせして取り付けました。

また、シャッターの動作に関連する各部分の清掃と調整も行いました。レリーズボタンやシャッター速度ダイヤルなど、関連する機構の動作確認も綿密に行い、スムーズな操作感を取り戻しました。

FTやFは、必ずと言っていいほどモルトがぼろぼろになっています。こちらも交換しました。

また、シャッターユニットも完全に壊れていて修理不能です。手元に部品があったので交換しました。

オリンパスPNE FTの修理後の状況

シャッターユニットの交換とモルトの交換が完了した後、カメラの動作確認を行いました。シャッターの作動は正常に戻り、各シャッター速度での精度も確認しました。しかし、タイマーの動作にまだ不安定さが見られたため、さらなる調査が必要となりました。

経過観察を数日間行い、様々な条件下でタイマーのテストを繰り返しました。当初は、タイマーレバーの機械的な問題か、あるいはタイマーユニット全体の不具合かを見極めるのに時間がかかりました。

タイマーレバーの動きを詳細に観察し、内部の機構との連動を確認しました。また、タイマーの設定時間と実際の作動時間のずれを測定し、データを収集しました。これらの調査の結果、最終的にタイマーユニット自体に問題があることが判明しました。

タイマーユニットの交換を行い、再度全ての機能のテストを実施しました。交換後は、タイマーの動作が安定し、設定した時間通りに正確に作動するようになりました。1秒から10秒までの各設定で複数回のテストを行い、信頼性を確認しました。

修理完了後も、さらに数日間の経過観察を行い、長時間使用での安定性や環境の変化による影響がないかを確認しました。

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