PENTAX S3 は、露出計を持たないシンプルな構造が魅力の機械式カメラです。S2 から SV へ移り変わる時期のモデルでもあり、個体によって設計の違いが残っているため、整備の現場では「それぞれの癖」を丁寧に見極めながら進める必要があります。
長い年月を経たカメラですので、どこかしらに不具合を抱えていることが多いのですが、無理に触られていない個体であれば、基本的な部分から整えていくことで安定して使える状態に戻すことができます。
例えば今回お預かりしたS3は、スローシャッターの停止、ファインダーのカビ、モルトの粉化、全体の汚れといった典型的な経年劣化が見られる状態でした。ただ、幕そのものは大きな破れがなく、まずは落ち着いて機構を整えることで改善が見込める範囲と判断しています。
ここから先は、S3 でよく見られる故障を、今回の症状を交えながらお話しします。
PENTAX S3のよくある故障
シャッター周りの不具合

S3 では、幕を引くリボンの劣化や切れがよく見られます。素材が古くなり硬化してくると、動作時のテンションが不均一になり、速度の安定にも影響します。
今回の個体ではスローガバナーが動かず、典型的な油切れの兆候が見られました。また、ミラー側から幕を確認すると、表面のゴムが劣化してわずかな凹凸がありました。今後の耐久性も踏まえ、慎重な仕上げが必要な状態です。
ファインダーの曇り・カビ

ファインダー内部は湿気の影響を受けやすく、カビ・曇りは珍しくありません。今回もプリズムや光学系にカビが確認でき、視界に影響するレベルでしたので、分解して清掃を行う必要がある状態でした。
巻き上げ機構

長期間油分が切れた状態で使われていた個体では、巻き上げが重くなったり、途中で僅かに引っかかりが出ることがあります。S3 は構造自体は素直ですが、無理な分解がされていると噛み合わせの修正に手間がかかることもあります。
なお今回の個体は、巻き上げに関して大きな破綻は見られず、整備によって軽快さが戻る範囲と考えています。
その他の経年劣化

モルトは粉状に劣化しており、光漏れ防止として機能していませんでした。外装や内部にも汚れが溜まり、長年の使用によるくすみが出ている状態でしたが、いずれも整備工程で整えることができます。
PENTAX S3の修理内容について
今回の個体は、まずボディとミラーボックスを分離し、シャッター機構やミラー周りの状態を確かめながら作業を進めました。内部には油切れの部分が多く、スローガバナーは完全に停止していましたので、関連するギアや軸を中心に洗浄と注油を行い、動作が安定するよう整えています。
幕そのものは破れこそありませんでしたが、表面のゴムが劣化して凹凸が出ていました。リボンについても年式相応の不安がありましたので、テンションの整え直しと動作確認を繰り返し、現状で安定して切れるところまで仕上げています。
ファインダーはカビが進んでいたため、各パーツを分解して清掃しました。プリズムの腐食は軽度で、視界に影響が残らない程度まで改善しています。

レンズ(Auto-Takumar 55mm F1.8)周辺にも曇りが見られましたが、こちらも分解清掃を行い、描写に影響の出ない状態に整えました。
モルト類はすべて粉化していましたので、新しい素材に貼り替えています。外装の汚れも丁寧に落とし、派手に磨きすぎない程度に、落ち着いた風合いを保ちながら仕上げました。
S3 は、S2寄りの仕様の個体と SV に近い構造を持つ個体があり、内部構造の違いによって作業の手順や注意点が変わる機種です。今回の個体は比較的整えやすい部類で、下手な分解の痕跡もなく、全体を順当に仕上げることができました。
整備後にお客様が体感しやすい点としては、巻き上げの軽さがひとつ挙げられます。ただそれ以外は大きく性格が変わるカメラではありませんので、静かに安定して使える状態に整えてお戻しする、という意識で作業を進めています。
PENTAX S3の修理代の相場は?修理当社は安い?
PENTAX S3は一眼レフの料金帯です。
ニコンFEやオリンパスOM1など機械式一眼レフフィルムカメラを、すべて点検して修理する「総合修理」した場合の相場価格です。各社ほとんどが税抜表示でしたので、税込み価格で統一しています。
一眼レフ : 総合修理
平均相場価格(税込み)
18,529円
| A社:19,800円~ | G社:19,800円~ | M社:14,300円~ |
| B社:19,800円~ | H社:非公開 | N社:19,800円~ |
| C社:19,800円~ | I社:17,600円~ | O社:16,500円~ |
| D社:24,200円~ | J社:22,000円~ | P社:19,800円~ |
| E社: 5,500円~ | K社:25,300円~ | |
| F社:15,180円~ | L社:非公開 |
かもめカメラ当社かもめカメラは、一眼レフの全体修理をお受けしております。料金個々の状況により、上記よりも安くなる場合もあれば、そうでないケースもあります。誠実なお見積りを心がけておりますので一度お問い合わせください。
当社の修理が、おすすめできる理由は「かもめカメラ5つのお約束」をご覧ください!きっとご満足いただける修理をご提供できます。
フィルムカメラ修理の値段はなぜバラバラ?
フィルムカメラの修理はメーカーや国が作った資格のない仕事です。唯一信頼できるのが、今は70歳か80歳くらいになったメーカーの研修を受けたエンジニアの方たちの経験と知識です。かもめカメラはニコン、オリンパス、ペンタックス、キャノンなどのメーカー研修を受けた技術者から直接指導を受けて、検査機を使って修理調整しています。
資格がなくても修理ができる業界なので、趣味で修理をしている方や、最近では転売をしている方が作ったカメラ修理士という独自の名称で修理を受け付けている方もいます。
それで残念ながら価格や技術がバラバラで一律した基準がなかなかない比較しにくい現状があります。
PENTAX S3のオーバーホール料金
オーバーホールの定義は、部品全てを分解して修理するというものかもしません。でもカメラの場合は、分解してはいけない場所もあります。ミリ単位で調整がしてあり、触るとかえっておかしくなってしまう部品箇所があるんです。
それで、各修理屋さんでオーバーホールの意味合いが違うと思います。
かもめカメラではオーバーホールを総合修理という言い方にしています。全体の検査を行い、機能を損なわない箇所まで分解し、清掃・注油・設定調整を行います。
古いフィルムカメラをどこまで修理するか?
フィルムカメラ修理は手を抜こうと思うとたくさん妥協できるところがある修理業種です。でも手を抜いていくと、露出が暗くなってしまったり明るすぎてしまったり、使い心地が枠瑠なったり、しばらくすると調子が悪くなったりしてしまいます。例えば以下のような残念なことがよく起きます。
よくあるフィルムカメラ修理の残念な事例
手を抜いてしまう修理だと、一応動くけどなんだかおかしい・・・ということがよくあります。例えば・・・
- モルトの劣化が見逃され、撮影状況によっては感光光線漏れする
- 1枚1枚のコマ間が大きくずれている
- 速度が不正確で高速になればなるほど遅くなり、全体が開かないこともある
- 露出計の表示が不正確で、その表示に合わせて設定をすると暗すぎ明るすぎな写真になる
- 配線が繋がっているがギリギリ首の皮一枚の状態でしばらくすると電気系が動かなくなる
- 各操作部品の掃除がされておらず、操作感が気持ち悪い
修理に出して帰ってきたカメラを触っても比較するものがないので、フィルムカメラ初心者の方はこのようなおかしさがわからないことが多いです。『なんだかおかしい・・』とわかってきたころには保証期間が終わってしまい諦めてしまうこともよく聞く話です。
かもめカメラの5つのお約束
フィルムカメラ修理は業界の資格や規定などがないので、明確な決まりごとのないサービスです。修理屋さんによって修理の質や出来上がる写真に大きな違いがでるので、料金の安さだけで比較することはおすすめできません。安心して修理をご依頼いただくために、かもめカメラでは「5つのお約束」を独自に設定しております。
当社かもめカメラの修理料金は相場よりも1,000円ほど高いことがあるかもしれませんが、コスパを考えると絶対にお安いとおすすめできます!
① 6か月保証いたします
日本には四季があり、同じ場所でも温度や湿度が大きく変化します。それで古いフィルムカメラは、冬場はきちんと動いていたのに、夏になったら動かなくなるということがよくあります。かもめカメラでは長期の使用に耐えられることを念頭において修理しています。それで修理終了時期から、季節が変わるであろう半年間を無料保証期間としています。修理が終わったカメラを、半年間たっぷり使って調子を試してください。
② 専用検査機を使って調整します


きれいな写真、自分の思い通りの写真を撮るには、カメラの「シャッター速度・露出計の動作・絞りの動作」この3つがしっかり連動する必要があります。
この3つが正常に動いているかは、人間の眼では確認できないことがほとんどです。専用の試験機で、数値で表示させないととわかりません。この試験機が7桁近くする高価なもので、現在日本で製造しているメーカーもほとんどありません(もうないといってもいい状況です)。
かもめカメラではすべての修理を試験機にかけて調整しています。
③ 検査修理票をお付けします


かもめカメラでは修理をしながら、試験機で行った検査の結果数値とその他目視で行う動作確認を修理票にまとめながら修理を行っています。
そのカメラのシャッター速度や、オートで撮った時の露出計の状態などを数値で表示したものです。
この修理票をお付けしてお返しします。通常では修理屋さんでは絶対にお客様にお見せしないものですが、お客様に安心してお使いいただくために、かもめカメラでは修理票の実物コピーをお付けします。
④ 見て見ぬふりはしません
古いフィルムカメラの修理をしていると言い方がわるいですが、このまま修理しないでお返ししても「きっとお客様は気づかない箇所」がたくさんでてきます。少なくとも保証期間内は影響がでないだろうと思われる箇所もあります。
かもめカメラではこうした箇所も、見過ごさずしっかりと整備いたします、これは性分です。きちんと整備し、修理票に記録してお返しします。
またそれに伴い追加の部品交換などの必要が出た場合もお客様にご相談して対応いたします。
⑤ 全体をクリーニングしてお返しします
かもめカメラは動作・機能を回復させるところまでで完成とは考えておりません。数十年たったカメラを気持ちよく利用していただくために、外装もできる限りのクリーニングをしてお返しします。かなりきれいになります!お楽しみに!!もちろん最後に除菌も行って送付いたします。
追加料金になりますが、ご希望によってお好きなカラーで張り替えることもできますのでご相談ください。
かもめカメラのフィルムカメラ修理の料金一覧
当社かもめカメラは、全体修理をお受けしております。以前は以下に具体的な金額を入れておりましたが、料金個々の状況により、上記よりも安くなる場合もあれば、そうでないケースもあります。それでここに価格は個々にお見積りさせていただくこととしました。誠実なお見積りを心がけておりますので一度お問い合わせください。
| 一眼レフ | お見積り下さい |
| レンジファインダー機 | お見積り下さい |
| コンパクト機 | お見積り下さい |
| モルト交換 | お見積り下さい |
| その他部分修理 | お見積り下さい |
| レザー張り替え | お見積り下さい |





