オリンパスPENFT修理日記【ハーフミラー、ファインダー枠欠け】2024/8/16

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今回のオリンパスPENFT【ハーフミラー、ファインダー枠欠け】故障状況

今回修理依頼を受けたオリンパスPEN FTは、全体的に見て状態が非常に良好でした。このモデルは1966年に発売されたハーフカメラで、コンパクトながら高性能な機能を持つことで知られています。しかし、発売から半世紀以上が経過し、多くの個体で様々な問題が発生しているのが現状です。


配線を交換してみると露出計が予想以上に良く動作し始めました。これは非常に珍しいケースで、通常、電池室の腐食が進行すると露出計の機能にも深刻な影響を及ぼすことが多いのです。今回の露出計の動きを見ると、その精度の高さは経験値から判断してもとてもよいものでした。


まず目についたのは電池室の状態でした。残念ながら、多くのビンテージカメラに見られるように、電池室に腐食が進行していました。これは長年の使用や保管状態によって引き起こされる一般的な問題です。腐食により、電池との接点や内部配線が損傷を受けており、配線の交換が必要な状態でした。


このカメラは販売店からの依頼品であり、最終的にはエンドユーザーの手に渡ることになります。そのため、できる限り良い状態に仕上げて販売店にお戻ししたいです。適切な修理と調整を行えば、このカメラはきっとお客様を喜ばせる品質の一台になるはずです。

オリンパスPEN FTに行った修理内容

修理作業を進めていく中で、次に気づいたのはファインダーの状態でした。ファインダーを覗いてみると、大きな汚れが目立ちました。これはカメラの使用感を大きく損なう要素です。当初はプリズムの問題かと危惧しましたが、もしそうであれば別のFTから部品を移植する必要があり、適切な部品がない可能性があることと、費用がかさんでしまう可能性がありました。
幸いにも、カメラを開けて詳しく調べてみると、問題はハーフミラーの腐食であることが判明しました。

ハーフミラーは、ファインダーとフィルム面に光を分配する重要な部品です。腐食したハーフミラーは画像の明るさや色調に影響を与えるため、交換が必要です。


当店にはハーフミラーの材料があったので、新しいものを切り出して交換しました。これにより、ファインダーの見え味が良くなりました。


ハーフミラーの交換に続いて、カメラ全体の整備を行いました。各可動部分の動きをチェックし、必要に応じて注油を施しました。シャッター機構、フィルム巻き上げレバー、絞りリング、フォーカシングリングなど、すべての部分が滑らかに動作することを確認しました。


また、露出計の精度についても詳細なテストを行いました。専用テスターで確認し、その値を現代のデジタル露出計と比較することで、精度を検証しました。結果は予想以上に良好で、このPEN FTの露出計は高い精度で機能していることが分かりました。


外観の状態は非常に良好でしたが、一箇所だけ気になる点がありました。それはファインダー枠の欠けです。これはオリンパスPEN FTによく見られる症状で、使用時の衝撃や経年劣化によって生じることがあります。


ファインダー枠の修理には複数の選択肢がありました。当店では3Dプリントで作成したファインダー枠も用意していますが、今回はオリジナルの状態の良い部品が手元にあったため、それを使用して交換することにしました。オリジナル部品を使用することで、見た目の authenticity を保つだけでなく、フラッシュの取り付けなど、カメラの機能面でもメリットがあります。

PEN FT修理後の状況

全ての修理作業を終えた後、カメラの総合的な動作確認を行いました。特に注目したのは露出計の性能です。予想通り、露出計は非常に良く動作し、その精度も高いものでした。これまで修理してきた多くのPEN FTの中でも、高いレベルのCDS露出計でした。

修理完了後も、数日間の経過観察期間を設けました。

最後に、個人の修理のお客様へのメッセージも添えさせていただきます。PEN FTは比較的修理可能な部分が多いカメラです。もし所有されているPEN FTに問題がある場合は、ぜひ修理をご検討ください。多くの場合、適切な修理により良いコンディションに戻すことが可能です。

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