オリンパスPEN EEDのよくある故障、直るか?
オリンパス PEN EEDは1967年に発売されたハーフサイズフィルムカメラで、高品質のレンズと露出計を備えています。しかし、長期間の使用や経年劣化により、いくつかの故障症状が発生することがあります。以下に代表的な故障症状を挙げます。

1. オリンパスPEN EEDのシャッターの故障

オリンパスPEN EEDでは、シャッターが切れない という症状が頻繁に見られます。
「切れない」といっても、まったく動作しない場合だけでなく、動作が遅れたり速度が不安定になるケースも含まれます。
原因の多くは、長年の使用でシャッター羽根の間に回り込んだグリスや油が経年変質し、羽根同士が固着してしまうことです。実際に分解してみると、羽根の重なり部分に油膜が付着して動きを妨げていることがよくあります。加えて、シャッターを駆動する小さなバネがサビつき、本来の力を発揮できなくなる場合もあります。こうした要因によって、シャッターが正常に切れなくなります。
シャッターが切れない症状は直るか
この症状は、多くの場合で修理が可能です。
レンズユニットを開け、羽根を一枚ずつ丁寧にばらして清掃し、古い油を完全に除去します。そのうえで適切な潤滑剤を添加することで、シャッター本来の軽快な動作が戻ります。
写真にあるような油の固着は、この機種ではよく見られる典型的な症状です。適切に分解清掃を行えば改善するケースが大半です。
2. オリンパスPEN EEDの露出計の不具合

オリンパスPEN EEDの露出計は CdSセンサー を採用しています。経年劣化や電池切れによって、露出計がまったく反応しない、あるいは 不正確な値を示す といった不具合が起きます。
電池を交換しても改善しない場合や、針は動いていても実際の露出と合わない場合に気づかれることが多く、撮影結果に直結する大きな問題になります。
露出計の不具合は直るか
PEN EEDの露出計は、修理対応が比較的しやすい部類に入ります。
原因として多いのは、電池室の半田接点部分の腐食です。この場合、腐食に伴って電池室内のネジや小部品を交換しないと通電が安定しません。オリジナル部品を用意しているため、交換修理が可能です。
また、配線の劣化が原因で導通不良になることもありますが、これも配線交換で対応できます。センサー自体が故障している場合もありますが、PEN EEDのCdSセンサーは現行部品で代替できるため交換可能です。
一方で、メーターそのものの故障では少し費用がかかります。これは動作しているEEDから部品を取り出して交換する必要があるためです。とはいえ、EEDは露出計関連の部品をほぼ現行品で交換できるため、露出計は直しやすいカメラといえます。
3. オリンパスPEN EEDの絞り羽根の粘着
症状
オリンパスPEN EEDでは、絞り羽根が粘着して正しく開閉しない という不具合がよく見られます。
典型的な症状は、絞りが開かないままになってしまう、あるいは羽根の動きが非常に重くスムーズに動かないといったものです。
原因は長年の使用によりレンズ内部の油分が蒸発して羽根に回り込み、そこに埃が付着して固着することです。羽根の重なり部分に薄い油膜が広がると、少しずつ動作不良が進行します。
絞り羽根の粘着は直るか
この症状は、修理で改善することが可能です。
レンズユニットを分解し、絞り羽根を一枚ずつ丁寧に取り外して清掃します。その後、古い油膜を完全に除去し、必要に応じて極少量の潤滑を加えることで、絞りは本来の軽快な動きを取り戻します。
PEN EEDはシャッター羽根と絞り羽根が独立している構造を採用しているため、修理時にはそれぞれの点検と清掃が必要です。適切に整備を行えば、絞りの粘着はほとんどのケースで解消できます。
4. オリンパスPEN EEDのフィルム巻き上げ機構の不具合

症状
オリンパスPEN EEDでは、フィルム巻き上げがスムーズに行えない症状が時々見られます。
代表的には、フィルムが正しく送られない、巻き上げレバーが硬い、あるいはまったく動かないといったものです。
ただし、EEDは他のPEN EEシリーズなどに比べると、巻き上げギア機構の不具合は少ない機種です。頻発するトラブルではなく、発生するのは限られたケースです。
フィルム巻き上げ機構の不具合は直るか
巻き上げ機構の不具合は、修理で改善可能です。
内部を分解してギアやレバー部を点検し、古いグリスを清掃・再潤滑することで軽快な動作が戻る場合があります。まれにギアそのものが摩耗しているケースがあり、その場合は部品交換が必要です。
PEN EEDは構造的に巻き上げのトラブルが少ないモデルですが、もし不具合が発生しても修理対応は十分に可能です。
5. オリンパスPEN EEDのレンズのカビ・曇り
症状
オリンパスPEN EEDでは、レンズ内部にカビや曇りが発生することがあります。
こうした不具合が進行すると、撮影した写真が全体的にぼやけたり、コントラストが低下する原因になります。
典型的には、蜘蛛の巣状に広がるカビや、白いモヤのように広がる曇りです。保管環境の湿気が多い場合に特に起こりやすい症状です。
レンズ内部のカビや曇りは直るか
この症状は、修理で改善できることが多いです。
レンズを分解し、内部のカビや曇りを清掃することでクリアな描写を取り戻せます。PEN EEDのレンズは比較的お掃除で綺麗になることが多いため、まずは清掃で改善するケースが大半です。
ただし、カビ跡が深くコーティングやガラスを侵食している場合は完全に消せないこともあります。その場合はレンズ交換となりますが、PEN EEDは比較的交換部品の在庫があるため、交換対応が可能です。
6. オリンパスPEN EEDのファインダーの曇りやゴミ
症状
オリンパスPEN EEDでは、ファインダー内にゴミや曇りが発生し、被写体を確認しづらくなることがあります。
典型的な症状は、ファインダー内に小さなゴミや埃が見える、あるいは曇りによって視界が白っぽく不鮮明になるケースです。
湿気の多い環境での保管や長年の使用によって内部に汚れが入り込み、視認性を損なうことが原因です。
ファインダーの曇りやゴミは直るか
この症状は修理で改善することが可能です。
ファインダー部分を分解して内部の清掃を行い、ゴミや埃を取り除きます。曇りが発生している場合は、光学ガラスやプリズムのクリーニングによって視界を回復できます。
PEN EEDのファインダーは分解・清掃が可能な構造のため、適切に整備すれば再びクリアな視界を取り戻せます。多くのケースでは修理によって十分改善が見込めます。
オリンパスPEN EEDの修理代の相場は?修理当社は安い?
ニコンFEやオリンパスOM1など機械式一眼レフフィルムカメラを、すべて点検して修理する「総合修理」した場合の相場価格です。各社ほとんどが税抜表示でしたので、税込み価格で統一しています。
一眼レフ : 総合修理
平均相場価格(税込み)
18,529円
A社:19,800円~ | G社:19,800円~ | M社:14,300円~ |
B社:19,800円~ | H社:非公開 | N社:19,800円~ |
C社:19,800円~ | I社:17,600円~ | O社:16,500円~ |
D社:24,200円~ | J社:22,000円~ | P社:19,800円~ |
E社: 5,500円~ | K社:25,300円~ | |
F社:15,180円~ | L社:非公開 |

当社かもめカメラは、一眼レフの全体修理をお受けしております。料金個々の状況により、上記よりも安くなる場合もあれば、そうでないケースもあります。誠実なお見積りを心がけておりますので一度お問い合わせください。
当社の修理が、おすすめできる理由は「かもめカメラ5つのお約束」をご覧ください!きっとご満足いただける修理をご提供できます。
フィルムカメラ修理の値段はなぜバラバラ?
フィルムカメラの修理はメーカーや国が作った資格のない仕事です。唯一信頼できるのが、今は70歳か80歳くらいになったメーカーの研修を受けたエンジニアの方たちの経験と知識です。かもめカメラはニコン、オリンパス、ペンタックス、キャノンなどのメーカー研修を受けた技術者から直接指導を受けて、検査機を使って修理調整しています。
資格がなくても修理ができる業界なので、趣味で修理をしている方や、最近では転売をしている方が作ったカメラ修理士という独自の名称で修理を受け付けている方もいます。
それで残念ながら価格や技術がバラバラで一律した基準がなかなかない比較しにくい現状があります。
フィルムカメラ修理のオーバーホール料金
オーバーホールの定義は、部品全てを分解して修理するというものかもしません。でもカメラの場合は、分解してはいけない場所もあります。ミリ単位で調整がしてあり、触るとかえっておかしくなってしまう部品箇所があるんです。
それで、各修理屋さんでオーバーホールの意味合いが違うと思います。
かもめカメラではオーバーホールを総合修理という言い方にしています。全体の検査を行い、機能を損なわない箇所まで分解し、清掃・注油・設定調整を行います。
古いフィルムカメラをどこまで修理するか?
フィルムカメラ修理は手を抜こうと思うとたくさん妥協できるところがある修理業種です。でも手を抜いていくと、露出が暗くなってしまったり明るすぎてしまったり、使い心地が枠瑠なったり、しばらくすると調子が悪くなったりしてしまいます。例えば以下のような残念なことがよく起きます。
よくあるフィルムカメラ修理の残念な事例
手を抜いてしまう修理だと、一応動くけどなんだかおかしい・・・ということがよくあります。例えば・・・
- モルトの劣化が見逃され、撮影状況によっては感光光線漏れする
- 1枚1枚のコマ間が大きくずれている
- 速度が不正確で高速になればなるほど遅くなり、全体が開かないこともある
- 露出計の表示が不正確で、その表示に合わせて設定をすると暗すぎ明るすぎな写真になる
- 配線が繋がっているがギリギリ首の皮一枚の状態でしばらくすると電気系が動かなくなる
- 各操作部品の掃除がされておらず、操作感が気持ち悪い
修理に出して帰ってきたカメラを触っても比較するものがないので、フィルムカメラ初心者の方はこのようなおかしさがわからないことが多いです。『なんだかおかしい・・』とわかってきたころには保証期間が終わってしまい諦めてしまうこともよく聞く話です。
かもめカメラの5つのお約束
フィルムカメラ修理は業界の資格や規定などがないので、明確な決まりごとのないサービスです。修理屋さんによって修理の質や出来上がる写真に大きな違いがでるので、料金の安さだけで比較することはおすすめできません。安心して修理をご依頼いただくために、かもめカメラでは「5つのお約束」を独自に設定しております。
当社かもめカメラの修理料金は相場よりも1,000円ほど高いことがあるかもしれませんが、コスパを考えると絶対にお安いとおすすめできます!
① 6か月保証いたします
日本には四季があり、同じ場所でも温度や湿度が大きく変化します。それで古いフィルムカメラは、冬場はきちんと動いていたのに、夏になったら動かなくなるということがよくあります。かもめカメラでは長期の使用に耐えられることを念頭において修理しています。それで修理終了時期から、季節が変わるであろう半年間を無料保証期間としています。修理が終わったカメラを、半年間たっぷり使って調子を試してください。
② 専用検査機を使って調整します


きれいな写真、自分の思い通りの写真を撮るには、カメラの「シャッター速度・露出計の動作・絞りの動作」この3つがしっかり連動する必要があります。
この3つが正常に動いているかは、人間の眼では確認できないことがほとんどです。専用の試験機で、数値で表示させないととわかりません。この試験機が7桁近くする高価なもので、現在日本で製造しているメーカーもほとんどありません(もうないといってもいい状況です)。
かもめカメラではすべての修理を試験機にかけて調整しています。
③ 検査修理票をお付けします


かもめカメラでは修理をしながら、試験機で行った検査の結果数値とその他目視で行う動作確認を修理票にまとめながら修理を行っています。
そのカメラのシャッター速度や、オートで撮った時の露出計の状態などを数値で表示したものです。
この修理票をお付けしてお返しします。通常では修理屋さんでは絶対にお客様にお見せしないものですが、お客様に安心してお使いいただくために、かもめカメラでは修理票の実物コピーをお付けします。
④ 見て見ぬふりはしません
古いフィルムカメラの修理をしていると言い方がわるいですが、このまま修理しないでお返ししても「きっとお客様は気づかない箇所」がたくさんでてきます。少なくとも保証期間内は影響がでないだろうと思われる箇所もあります。
かもめカメラではこうした箇所も、見過ごさずしっかりと整備いたします、これは性分です。きちんと整備し、修理票に記録してお返しします。
またそれに伴い追加の部品交換などの必要が出た場合もお客様にご相談して対応いたします。
⑤ 全体をクリーニングしてお返しします
かもめカメラは動作・機能を回復させるところまでで完成とは考えておりません。数十年たったカメラを気持ちよく利用していただくために、外装もできる限りのクリーニングをしてお返しします。かなりきれいになります!お楽しみに!!もちろん最後に除菌も行って送付いたします。
追加料金になりますが、ご希望によってお好きなカラーで張り替えることもできますのでご相談ください。
かもめカメラのフィルムカメラ修理の料金一覧
一眼レフ | 23,800円~ |
レンジファインダー機 | 21,800円~ |
コンパクト機 | 19,800円~ |
モルト交換 | 9,800円~ |
その他部分修理 | ご相談ください |
レザー張り替え | ご相談ください |