MINOLTA XD は、機械式と電子制御を組み合わせた、当時としては先進的な構造を持つカメラです。そのぶん精密な部分が多く、長い年月を経た現在では、電子系と機械系の両方に不具合が出やすい傾向があります。絞り連動やメーターまわりの動き、シャッター羽根のわずかな油分など、細かな要因が全体の動作に影響しやすい機種です。
今回お預かりした個体では、まず露出計の針が振り切ってしまう症状が見られました。また、絞りを動かすレバーがほとんど動かない状態で、ミラーボックス側からの整備が必要でした。さらにシャッター羽根にはごく少量の油分が回っており、このままでは羽根どうしが抵抗を生み、最悪の場合は張り付きの原因になります。
付属のレンズにもカビが強く出ており、とくに前玉のカビは浸食跡が残ってしまうレベルでした。カシメ構造のため分解に手間がかかりますが、丁寧に処理しながら清掃を進めています。
ここから先は、XD でよく見られる不具合を、今回の症状を交えながらお話ししていきます。
MINOLTA XDのよくある故障
露出計/絞り連動

XD では、露出計が振り切ったり不安定になったりする症状がよく見られます。原因のひとつが、マウントまわりにある黒い抵抗部の汚れで、ここが汚れると電気的な情報が正しく伝わらず、針が大きく振れたり途中で止まったりします。
また、絞りを動かすレバーの固着も多く、ミラーボックス側の汚れや油分の乾きが影響します。レバーが動かない場合は、露出制御や AE 動作にも支障が出るため、根本から整える必要があります。
シャッター

XD のシャッターは、少量の油分が羽根に回るだけでも粘りが生じ、速度の不安定につながります。わずかな粘りでも羽根どうしの抵抗が増え、最悪の場合は張り付いて動かなくなることがあります。
さらに XD は構造上、シャッター機構がミラーボックス側に搭載されており、分解時はこのユニットを丸ごと外す必要があります。整備性は悪くありませんが、作業には注意が求められる部分です。
ファインダー/ミラーボックス

ミラーボックス内部に汚れが溜まると、絞りやミラー周りのレバー動作にも影響が出ます。経年で古い油が乾いて固まり、動作が鈍くなることがあるため、分解して直接清掃する必要があります。
レンズ(付属の 50mm F1.4)

前玉のカビは強く出ると浸食跡が残り、清掃しても完全には消せません。今回のレンズもその状態でした。
また、このレンズは前群がカシメ構造になっているため分解に手間がかかり、丁寧にカシメを外しながら作業を進める必要があります。
MINOLTA XDの修理内容について
今回の個体では、まず露出計の針が振り切ってしまう症状がありました。マウント周りを外して内部を確認すると、黒い抵抗部分に汚れが溜まっており、これが正しい電気信号を妨げていました。抵抗面を丁寧に清掃することで、針の動きは落ち着きを取り戻しています。
絞りを動かすレバーがほとんど動かない状態でしたので、ミラーボックスを外して下側からレバー周辺を清掃し、必要な箇所にわずかに油分を与えて動きを整えました。XD はシャッター機構がミラーボックス側に一体で装着されており、ボディ側には巻き上げ機構のみが残る構造のため、この工程でシャッターも同時に状態確認を行うことができます。
シャッター羽根については、表面にほんの少量の油分が回っており、羽根どうしの抵抗になっていました。分解して羽根までアクセスし、油分を取り除いてから再度組み直しています。ごく少しの油でも粘りにつながりやすい機種ですので、丁寧に処理を行いました。
付属していたレンズは、前玉に強めのカビがあり、一部はガラス表面を浸食して点状の跡が残る状態でした。ユニットに分解して清掃した後、前群の裏側にもカビが見られたため、カシメを慎重に外して内部まで清掃を進めています。完全には消えない跡はありますが、通常の撮影では大きな影響が出ない程度に仕上げています。
整備後は、露出計の動作が安定し、絞り連動やシャッターの動きが素直になりました。レンズも見え方がすっきりし、全体として安心してお使いいただける状態に整っています。
MINOLTA XDの修理代の相場は?修理当社は安い?
MINOLTA XDは一眼レフの料金帯です。
ニコンFEやオリンパスOM1など機械式一眼レフフィルムカメラを、すべて点検して修理する「総合修理」した場合の相場価格です。各社ほとんどが税抜表示でしたので、税込み価格で統一しています。
一眼レフ : 総合修理
平均相場価格(税込み)
18,529円
| A社:19,800円~ | G社:19,800円~ | M社:14,300円~ |
| B社:19,800円~ | H社:非公開 | N社:19,800円~ |
| C社:19,800円~ | I社:17,600円~ | O社:16,500円~ |
| D社:24,200円~ | J社:22,000円~ | P社:19,800円~ |
| E社: 5,500円~ | K社:25,300円~ | |
| F社:15,180円~ | L社:非公開 |
かもめカメラ当社かもめカメラは、一眼レフの全体修理をお受けしております。料金個々の状況により、上記よりも安くなる場合もあれば、そうでないケースもあります。誠実なお見積りを心がけておりますので一度お問い合わせください。
当社の修理が、おすすめできる理由は「かもめカメラ5つのお約束」をご覧ください!きっとご満足いただける修理をご提供できます。
フィルムカメラ修理の値段はなぜバラバラ?
フィルムカメラの修理はメーカーや国が作った資格のない仕事です。唯一信頼できるのが、今は70歳か80歳くらいになったメーカーの研修を受けたエンジニアの方たちの経験と知識です。かもめカメラはニコン、オリンパス、ペンタックス、キャノンなどのメーカー研修を受けた技術者から直接指導を受けて、検査機を使って修理調整しています。
資格がなくても修理ができる業界なので、趣味で修理をしている方や、最近では転売をしている方が作ったカメラ修理士という独自の名称で修理を受け付けている方もいます。
それで残念ながら価格や技術がバラバラで一律した基準がなかなかない比較しにくい現状があります。
MINOLTA XDのオーバーホール料金
オーバーホールの定義は、部品全てを分解して修理するというものかもしません。でもカメラの場合は、分解してはいけない場所もあります。ミリ単位で調整がしてあり、触るとかえっておかしくなってしまう部品箇所があるんです。
それで、各修理屋さんでオーバーホールの意味合いが違うと思います。
かもめカメラではオーバーホールを総合修理という言い方にしています。全体の検査を行い、機能を損なわない箇所まで分解し、清掃・注油・設定調整を行います。
古いフィルムカメラをどこまで修理するか?
フィルムカメラ修理は手を抜こうと思うとたくさん妥協できるところがある修理業種です。でも手を抜いていくと、露出が暗くなってしまったり明るすぎてしまったり、使い心地が枠瑠なったり、しばらくすると調子が悪くなったりしてしまいます。例えば以下のような残念なことがよく起きます。
よくあるフィルムカメラ修理の残念な事例
手を抜いてしまう修理だと、一応動くけどなんだかおかしい・・・ということがよくあります。例えば・・・
- モルトの劣化が見逃され、撮影状況によっては感光光線漏れする
- 1枚1枚のコマ間が大きくずれている
- 速度が不正確で高速になればなるほど遅くなり、全体が開かないこともある
- 露出計の表示が不正確で、その表示に合わせて設定をすると暗すぎ明るすぎな写真になる
- 配線が繋がっているがギリギリ首の皮一枚の状態でしばらくすると電気系が動かなくなる
- 各操作部品の掃除がされておらず、操作感が気持ち悪い
修理に出して帰ってきたカメラを触っても比較するものがないので、フィルムカメラ初心者の方はこのようなおかしさがわからないことが多いです。『なんだかおかしい・・』とわかってきたころには保証期間が終わってしまい諦めてしまうこともよく聞く話です。
かもめカメラの5つのお約束
フィルムカメラ修理は業界の資格や規定などがないので、明確な決まりごとのないサービスです。修理屋さんによって修理の質や出来上がる写真に大きな違いがでるので、料金の安さだけで比較することはおすすめできません。安心して修理をご依頼いただくために、かもめカメラでは「5つのお約束」を独自に設定しております。
当社かもめカメラの修理料金は相場よりも1,000円ほど高いことがあるかもしれませんが、コスパを考えると絶対にお安いとおすすめできます!
① 6か月保証いたします
日本には四季があり、同じ場所でも温度や湿度が大きく変化します。それで古いフィルムカメラは、冬場はきちんと動いていたのに、夏になったら動かなくなるということがよくあります。かもめカメラでは長期の使用に耐えられることを念頭において修理しています。それで修理終了時期から、季節が変わるであろう半年間を無料保証期間としています。修理が終わったカメラを、半年間たっぷり使って調子を試してください。
② 専用検査機を使って調整します


きれいな写真、自分の思い通りの写真を撮るには、カメラの「シャッター速度・露出計の動作・絞りの動作」この3つがしっかり連動する必要があります。
この3つが正常に動いているかは、人間の眼では確認できないことがほとんどです。専用の試験機で、数値で表示させないととわかりません。この試験機が7桁近くする高価なもので、現在日本で製造しているメーカーもほとんどありません(もうないといってもいい状況です)。
かもめカメラではすべての修理を試験機にかけて調整しています。
③ 検査修理票をお付けします


かもめカメラでは修理をしながら、試験機で行った検査の結果数値とその他目視で行う動作確認を修理票にまとめながら修理を行っています。
そのカメラのシャッター速度や、オートで撮った時の露出計の状態などを数値で表示したものです。
この修理票をお付けしてお返しします。通常では修理屋さんでは絶対にお客様にお見せしないものですが、お客様に安心してお使いいただくために、かもめカメラでは修理票の実物コピーをお付けします。
④ 見て見ぬふりはしません
古いフィルムカメラの修理をしていると言い方がわるいですが、このまま修理しないでお返ししても「きっとお客様は気づかない箇所」がたくさんでてきます。少なくとも保証期間内は影響がでないだろうと思われる箇所もあります。
かもめカメラではこうした箇所も、見過ごさずしっかりと整備いたします、これは性分です。きちんと整備し、修理票に記録してお返しします。
またそれに伴い追加の部品交換などの必要が出た場合もお客様にご相談して対応いたします。
⑤ 全体をクリーニングしてお返しします
かもめカメラは動作・機能を回復させるところまでで完成とは考えておりません。数十年たったカメラを気持ちよく利用していただくために、外装もできる限りのクリーニングをしてお返しします。かなりきれいになります!お楽しみに!!もちろん最後に除菌も行って送付いたします。
追加料金になりますが、ご希望によってお好きなカラーで張り替えることもできますのでご相談ください。
かもめカメラのフィルムカメラ修理の料金一覧
当社かもめカメラは、全体修理をお受けしております。以前は以下に具体的な金額を入れておりましたが、料金個々の状況により、上記よりも安くなる場合もあれば、そうでないケースもあります。それでここに価格は個々にお見積りさせていただくこととしました。誠実なお見積りを心がけておりますので一度お問い合わせください。
| 一眼レフ | お見積り下さい |
| レンジファインダー機 | お見積り下さい |
| コンパクト機 | お見積り下さい |
| モルト交換 | お見積り下さい |
| その他部分修理 | お見積り下さい |
| レザー張り替え | お見積り下さい |


