Asahi Auto-Takumar 55mm f/1.8は修理、カビ取り清掃はできる?整備料金は?

Auto-Takumar 55mm f/1.8は、ペンタックス黎明期を代表するオールドレンズのひとつで、その柔らかさと独特の階調表現から今なお多くのファンに愛され続けています。シンプルな構造で扱いやすく、クラシカルな描写が楽しめる名玉ですが、一方で長い年月の使用や保管環境の影響によって、内部にカビやクモリが発生するケースも少なくありません。

カビやくもりは写りに変化をもたらすことがありますが、多くの場合は清掃や修理で改善可能です。このページでは、Auto-Takumar 55mm f/1.8に起こりやすいトラブルや、その修理・カビ取り清掃の可否、そして実際に整備を依頼した場合の料金目安についてわかりやすく解説しています。オールドレンズを安心して使い続けたい方の参考になれば幸いです。

目次

Asahi Auto-Takumar 55mm f/1.8でよくある不具合やトラブル

Asahi Auto-Takumar 55mm f/1.8は、このレンズはM42スクリューマウントを採用しており、多くのフィルム一眼レフ(特にPentax Spotmaticなど)と互換性があります。ロングセラーになったSPと共にかなりの流通量があり、当店でもよくご依頼をうけるレンズです。

クセが少なく、描写性能が安定していることから「標準的」かつ安心して使えるオールドレンズとして評価されています。ボケの滑らかさなどが好まれ、今もなお多くのユーザーに愛用されています。

このレンズをメンテナンスしていてよくあるトラブルや不具合をご紹介いたします。

レンズの内部にチリ混入、カビが発生する

オールドレンズ全般に共通するトラブルのひとつが、レンズ内部へのチリの混入やカビの発生です。特にAsahi Auto-Takumar 55mm f/1.8は製造から半世紀以上が経過しているため、保管環境によっては内部に細かなゴミやホコリが入り込んでいることが多く見られます。撮影に大きな影響を与えない程度であれば実用可能ですが、逆光時にフレアやコントラスト低下を招く原因になることがあります。

レンズがバルサム切れでくもる

Auto-Takumar 55mm f/1.8では、バルサム切れと呼ばれるトラブルも比較的よく見られます。これは2枚のレンズを貼り合わせる際に使われた接着剤(バルサム)が経年劣化し、剥離や変色を起こす現象です。結果としてレンズの一部が白く濁ったり、虹色のような模様が浮かび上がることがあります。

見た目には小さな曇りでも、強い光を取り込むとフレアが出やすくなったり、コントラストが不自然に低下する原因となります。特に逆光撮影や開放付近での撮影では影響が大きく、シャープさや透明感が損なわれてしまいます。

この症状は製造から長い年月が経過したオールドレンズでは避けられない宿命のようなものです。程度が軽ければ実用に支障がない場合もありますが、進行すると描写性能を大きく損なうため注意が必要です。

レンズの絞りがゆっくり、または動作しない

Auto-Takumar 55mm f/1.8で頻繁に見られるトラブルのひとつが、絞りが正常に動作しなくなる症状です。本来なら絞りリングを回すと羽根がスムーズに開閉するはずですが、経年劣化や過去の修理歴によって動かなくなっている個体が少なくありません。

原因としては大きくいくつかのパターンがあります。もっとも多いのは、羽根同士が油分や汚れで癒着して固着してしまうケースです。また、絞りを駆動するための周辺部品がグリスの劣化で固着し、動きが阻害される場合もあります。過去に修理を受けた個体では、部品の組み込みミスによって正常に連動しなくなることもあり、さらに稀にではありますが羽根そのものが外れてしまうといった深刻なトラブルも確認されています。

フォーカスリングが重い、ヘリコイドのグリスの劣化

オールドレンズの定番トラブルといえば、フォーカスリングの重さです。Auto-Takumar 55mm f/1.8も例外ではなく、内部のヘリコイドに塗られているグリスが経年劣化し、硬化してしまうことでスムーズな操作ができなくなっている個体が少なくありません。

もともとは適度なトルク感で心地よい操作性を持つレンズですが、劣化したグリスは粘りが増してリングの回転を極端に重くしたり、逆に乾いてスカスカの手応えになることもあります。前の所有者がグリスを追加して応急処置をしている場合もありますが、適切でないグリスが使われていると再び固着したり、内部部品を痛める原因にもなります。

フォーカス操作の快適さは撮影体験に直結するため、リングの動きが重い・不自然に軽いといった症状は、このレンズの購入や使用時に必ずチェックすべきポイントです。

Asahi Auto-Takumar 55mm f/1.8の修理・カビ取り清掃はできるのか?

Auto-Takumar 55mm f/1.8は、半世紀以上前に作られたオールドレンズであるため、現在流通している個体の多くには何らかの劣化や不具合が見られます。特に日本のような高温多湿の環境では、カビや曇りといった光学的なトラブルが発生しやすく、加えてフォーカスリングの重さや絞りの不良など、機械的な問題が加わることも少なくありません。

では、こうした症状が出てしまった場合に「修理や清掃でどこまで対応できるのか?」が気になるところでしょう。ここでは、実際に当店に持ち込まれる事例を踏まえながら、清掃で改善が可能なケースと、部品交換や高度な処理が必要となるケースについてご紹介します。

レンズの内部にチリ混入、カビが発生する

レンズのチリや表面に付着しているカビはお掃除で除去できることが多いです。

しかし、カビは単にガラスの表面に生えるだけでなく、レンズコーティングに食い込むように付着することもあります。この状態になると、見た目は薄い曇りや白いシミのように見え、光学性能に影響を及ぼします。軽度であれば分解清掃で除去可能ですが、進行したカビは跡を残すことが多く、清掃後でも描写にわずかな低下が残るケースもあります。

そのため、「完全に元通りにできるかどうか」は個体の状態によって異なります。ただし、適切な道具と手順でクリーニングを行えば、実用上十分な写りを取り戻せることがほとんどです。特に、逆光でのフレアやコントラスト低下が改善されるだけでも、撮影体験は大きく変わります。

予防としては、防湿庫や乾燥剤を用いた保管が最も効果的です。すでにカビが見られる場合は、できるだけ早めに修理や清掃を依頼することが望ましいといえるでしょう。

レンズがバルサム切れでくもる

バルサム切れが起きたレンズは、カビと違って簡単な清掃では改善できません。これはレンズそのものの貼り合わせ層が劣化しているためで、本来の修復には貼り合わせを剥がして再接着する「再バルサム」という高度な工程が必要になります。

しかし、実際にこの再バルサムをきちんと行っている業者は、私の知る限り存在しません。ごく一部で試みられている方法は、レンズを熱湯や油で煮て接着を剥がし、表面を削ったうえでレジンで再付着させるといった非常にリスクの高い処理です。こうした作業はレンズそのものを傷めやすく、見た目は一時的に改善しても、しばらくすると再び状態が悪化したり、光学的にさまざまな問題を引き起こす可能性が高いと考えられます。

そのため、当店ではこの再バルサム処理は行っておりません。軽度のバルサム切れであれば、描写への影響を最小限にとどめて実用の範囲で楽しむことをおすすめします。もし症状が進行して撮影に支障が出るようであれば、修理を試みるよりも代替個体への買い替えを検討するのが現実的です。

レンズの絞りがゆっくり、または動作しない

絞りの動作不良は、程度や原因によって対応の可否や手間が大きく異なります。羽根と羽根の間の癒着や油分による固着であれば、分解清掃で改善できるケースがほとんどです。また、周辺部品のグリス劣化による固着も、古いグリスを除去して新たに塗布し直すことで回復が可能です。

一方で、過去の修理で部品が誤って組み込まれている場合や、羽根が外れてしまっている場合は難易度が高くなります。羽根が外れているケースでは再組み込みが必要ですが、このモデルは流通量が多く、部品取り個体からの羽根の交換や補充も可能です。そのため、欠損や変形が見られる場合でも修理不能となるケースは比較的少ないといえます。

当店では、可能な限りオリジナルの羽根を活かしながら整備を行いますが、状態によっては部品交換を行い、実用に耐えられる状態に戻すことが可能です。

フォーカスリングが重い、ヘリコイドのグリスの劣化

フォーカスリングの重さや違和感は、ほとんどの場合内部のヘリコイド部分を分解して調整することで改善が見込めます。固着している古いグリスを除去し、新たに適切な処理を施すことで、本来のスムーズな操作感に近づけることができます。

Auto-Takumar 55mm f/1.8は流通量が多く、構造も比較的シンプルなため、こうした調整は現実的に行える整備項目のひとつです。ただし、過去に不適切な修理がされていたり、内部部品に摩耗や変形が見られる場合には、完全に理想的な感触を再現できないケースもあります。

それでも、多くの個体では調整によって大幅に改善し、快適に使用できる状態へと戻すことが可能です。オールドレンズらしい独特の操作感を楽しむためにも、定期的な点検や整備は大切です。

カメラレンズ内のカビ取り除去修理の料金一覧

当社かもめカメラは、全体修理をお受けしております。以前は以下に具体的な金額を入れておりましたが、料金個々の状況により、上記よりも安くなる場合もあれば、そうでないケースもあります。それでここに価格は個々にお見積りさせていただくこととしました。誠実なお見積りを心がけておりますので一度お問い合わせください。

レンズの一般クリーニングお尋ねください
シャッター羽根分解整備+2,500円~
絞り羽根分解整備+2,500円~
ヘリコイド分解グリス交換整備+4,000円~
Xで修理実況始めましたー

大切なカメラを安心して預けていただくために何ができるのか?ご希望の方に、修理の過程をよかったら写真や動画で公開します。大切にしっかりとメンテスされているあなたのカメラやレンズをご覧ください。

作業効率と正確な修理が第一なので要所要所でお見せするぐらいですが、安心してお任せしていただきたくてこんなサービスを始めてみます。もちろん「公開しないで!」という方はおっしゃってくださいね。

かもめカメラ

せっかくご依頼いただいたカメラやレンズ
しっかりメンテナンスします。作業の様子を公開して安心してくださったらうれしいです!

※ズーム・オートフォーカスレンズのメンテナンスはお預かりしておりません。

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