ローライ35の露出計が動かない場合、原因の多くは電池を入れっぱなしにしたことで起こる不具合です。
このカメラの露出計はCdS式で電池を必要とするため、長期間使用せずに電池を放置しておくと、電池ボックスや内部回路の腐食につながります。
結果として針が動かなくなったり、不安定に振れるなどの症状が現れます。ここでは、代表的な故障の原因と修理の考え方について解説します。
このページを読むとわかること【FAQ】
- ローライ35の露出計はなぜ動かなくなるのですか?
-
主な原因は電池を長期間入れっぱなしにすることで起こる電池ボックスや内部配線の腐食、CdSセルの経年劣化、メーターや可変抵抗の不具合などです。
- 露出計が動かない場合の故障原因は特定できますか?
-
外観からだけでは判断できないことが多く、分解点検によってはじめて電池ボックスや配線の腐食、CdSセルの劣化など具体的な不具合がわかります。この記事では主な5つの原因を解説しています。
- 露出計の修理費用はどのくらいかかりますか?
-
それぞれのケースによるので、一律の金額をお伝えすることはできませんが、症状によっては全点検整備の半額程度で収まることもあります。詳しくはお問い合わせください。
ローライ35の露出計と不具合の特徴
CdS式の露出計なので電池が必須
ローライ35に搭載されている露出計はCdS(硫化カドミウム)を使った方式で、動作には電池が欠かせません。セレン式のように電池不要ではなく、常に電源供給が必要なため、電池まわりの状態が露出計の寿命やトラブルに直結します。
電池を入れっぱなしにすることで、電池ボックスや内部回路の腐食につながる
長期間電池を入れたまま放置すると、液漏れやガス発生によって電池ボックス内にサビや腐食が発生します。さらにその影響が内部の配線や回路にまで及ぶと、電気が正しく流れず、露出計が全く反応しない原因となります。
結果として「針が動かない」「不安定に振れる」といった故障例が多い
腐食や経年劣化によって電気の流れが阻害されると、露出計の針がまったく動かなくなったり、不安定に振れる症状が現れます。このような場合、外見からは判断しにくく、内部の点検や修理が必要になることがほとんどです。
露出計が動かない主な原因5つ
①電池の入れっぱなしによる電池ボックスの腐食

ローライ35でよく見られるトラブルの一つが、電池を長期間入れっぱなしにしてしまうことで起こる電池ボックスの腐食です。電池は時間が経つと内部からガスや液が漏れ出し、金属端子部分にサビを発生させます。
このサビが進行すると導電性が失われ、露出計へ電流が流れなくなります。外観からは小さな変色程度にしか見えなくても、内部では電極が劣化していて全く通電しないケースも少なくありません。こうなると露出計は動作しなくなり、修理による清掃や部品交換が必要になります。通常部品は他のカメラを改造して再作できます。

②内部配線の腐食

電池ボックスの腐食が進むと、その影響はボックス内部だけでなく、そこから伸びている配線にも及びます。特に細い導線やハンダ付け部分は腐食に弱く、酸化して断線したり接触不良を起こしたりします。
結果として通電が不安定になり、針が小刻みに振れる、あるいは全く動かなくなるといった症状が出ます。外からは見えない部分だけに、分解して確認しなければ原因を特定できないことも多く、専門的な修理対応が必要です。
③CdSセル自体の経年劣化

露出計の要となるCdSセンサー(光を電気信号に変換する素子)は、経年劣化によって感度が落ちていきます。これは避けられない現象で、古いカメラでは光に反応しても針の振れが極端に弱くなる、あるいは明るさに対して正確に動かないといった不具合が出やすくなります。
CdSは完全に一致はしないのですが、現行で販売されているもので利用できるものを見つけましたので交換をすることができます。でもオリジナルが生きていれば、精度の面でもそちらを活かす方がよいです。
④メーターの物理的な破損
露出計内部のメーター(指針部分)が物理的に破損しているケースもあります。強い衝撃で針が折れたり、内部の微細なバネ機構が変形すると、光や電気の入力があっても針が正しく動かなくなります。また、経年で内部の潤滑が切れ、針の動きが重くなる「固着」の症状も見られます。外からは正常に見えても、内部ではメカニカルなトラブルが原因となっていることがあり、こちらも分解修理が不可欠です。
以下は最初に出てくるのが部品取り用の動作しているメーターです。テスターで電流を流すと白い針が反応し正常動作していることがわかります。2つめはメーターが壊れているケースです。同じことをしても動作しません。この場合メーターが破損していることになり、交換が必要になります。
⑤内部抵抗の腐食や断線

露出計内部には、回路のバランスを調整するための可変抵抗が組み込まれています。この部品も湿気や電池の影響を受けやすく、腐食や接点不良が起こると露出計の動作に大きな誤差が生じます。場合によっては針が振れすぎたり全く動かないなど、症状がバラバラに見えるのが特徴です。可変抵抗はクリーニングで改善する場合もありますが、重度の腐食では交換が必要となり、修理の難易度は高くなります。
ローライ35(Rollei35)露出計の故障は修理は可能?
ローライ35の修理は、当店では基本的に「全点検整備」で承ることが多いのですが、露出計については独立した構造になっているため「部分修理」での対応も可能です。
実際には、本体自体は露出計の不調があっても他に問題が見られないケースが多く、その場合は露出計のみを対象とした修理で対応できます。
修理価格を一律にお伝えすることはできませんが、症状によっては全点検整備の半額程度で済む場合もあります。いずれにしても状態によって必要な作業は異なりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
